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SDG 9(広域物流の円滑化)の達成へ

インフラという言葉を聞くと、道路や建物など目に見えるものを思い浮かべるかもしれません。しかし、それらの「ハードインフラ」は、ユーザーが効果的に活用できるための、ルール作りや運営能力がなければ、単なる立派な建物や道路にすぎません。パデコでは、このような「ソフトインフラ」と呼ばれる分野で、長年にわたり途上国への支援を実施してきました。特に、アジアやアフリカにおける、広域貿易・物流計画の分野では、調査フェーズから新規インフラ導入のフェーズまで、目に見えないソフトな分野における組織運営・法的整備に関するコンサルティングを実施し、実際に対象国の貿易や物流を動かす政府関係者のキャパビル支援を進めています。

通関簡素化の必要性

われわれ島国生まれの日本人にとって国境というものは目に見えにくい、あまり縁がないものですが、世の中の多くの国は陸上国境を通じて資源や物資のやり取り(輸出入)をしています。輸出入は、国家エコノミー間の過不足を交換し合うことで、経済効率を高め、生活を豊かにするものと考えますが、実際の国境通過時には、検疫、関税徴収、運転手の国境通過、荷物の載せ替えなど、手間のかかる手続きが伴います。これを50年掛けて粘り強く簡素化に取り組んだのがEU社会であり、段階的に国境における荷物の載せ替えや関税徴収の簡素化をすすめ、最終的には「国境での手続きを無くす」という状態にまで昇華させました。

下記にSDGs9.1、9.aを参照しますが、SDGs目標を達成するためには、越境インフラ、国境手続きの改善が重要であることが分かります。

SDGs9.1 全ての人々に安価で公平なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援するために、地域・越境インフラを含む質の高い、信頼でき、持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラを開発する。 SDGs9.a アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国及び小島嶼開発途上国への金融・テクノロジー・技術の支援強化を通じて、開発途上国における持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラ開発を促進する。

2600人の現地有識者と協働した、南部アフリカでのOSBP運営能力強化

これがアジア、アフリカで出来るのか。現場を見ている私たちにとっても難しいことだと思いますが、着実に成果は上がっています。

例えば、東部アフリカ・南部アフリカでは、2000年代からワンストップボーダーポスト(OSBP)の導入が進められており、日本政府も長年支援を続けてきました。OSBPとは、国境を越境する際に、従来両国それぞれでやっていた通関や出入国手続きを、一つまたは片側の国境施設に統合し、人やモノの移動を効率化するための取り組みです。

パデコでは、2006年からアフリカの経済回廊調査を数多く実施し、それらの実績から2015年からOSBPソースブックの作成/改訂をリードしてきました。そして2022年には、「第3版OSBP ソースブック」がAUDA-NEPADおよびJICAからローンチされました。

加えて、OSBPの導入および運営に係る能力強化支援を長年実施しており、対象国境における両国間共通で利用できるOSBP手続きマニュアルの作成/改訂、二国間国境運営委員会のファシリテーション、さらには国境職員や近隣住民などの関係者に対する研修・セミナーなどを実施しています。これらの取り組みを通じて、より円滑な国境手続きに向けて、税関手続きの改善や、省庁間の連携強化のため政策やイニチアチブを各国政府が進めています。特に、2025年に終了した南部アフリカOSBP能力強化案件では、延べ2,600人を超える関係者への研修・セミナーを開催し、中でもザンビアでは、プロジェクト対象国境における貨物通関時間が、2022年から2024年にかけて60%以上短縮されたと報告されています。

OSBPは、隣国の政府職員と肩を並べて業務をする場所であり、簡単なようでとても難しい取り組みです。アフリカでは、国境を挟んだ両側の住民が同じ民族的・文化的背景を共有していることが多く、共通の言語(英語やフランス語など)も普及していることから、「共にOSBPを運営していこう」という意識づくりがうまくできる土壌があると言えます。 一方、アジア地域では、歴史的背景や文化や言語の違いから、OSBPのような統合型の国境管理を導入するには、高いハードルがある国も少なくありません。パデコでは、各地域の特性を深く理解し、現地の人々と協議を重ねながら、その地域に適したソフトインフラの在り方を模索し、持続可能なソリューションの提供に向けた支援を進めていきます。



案件名: アフリカ地域南北回廊における円滑なOSBP運営管理能力強化プロジェクト
出典: JICAザンビア事務所
Project Name: The Project for Capacity Development on Smooth Operation of OSBPs on the North-South Transport Corridor
Source: JICA Zambia Office



①カズングラOSBPでの通関所要時間調査



②国境近隣住民向けワークショップ風景


③南部アフリカ政府職員向けOSBP研修